04 幸せな記憶 (Memory loss mix) レビュー

切々と歌う上原れなのボーカルが心に響く『WHITE ALBUM2 -closing chapter-』オープニングテーマ「幸せな記憶」のリミックスが4曲目に登場します。

珠玉のメロディーを奏でる「幸せな記憶」のオリジナル・バージョンは、緻密に複雑に練り込まれた構成で、ダンスミュージックにリミックスするのが非常に難しい楽曲となっています。
そんな難曲のリミックスに挑んだのが、ゲームミュージックシーンの大家Sampling Masters MEGA。
これまで「SUPER SHOT」シリーズでいくつもの難曲をリミックスしてきたSampling Masters MEGAですが、「幸せな記憶」でも至宝の匠を披露しました。

ゆったりと奏でるエレキギターの調べと共にスタートする 幸せな記憶 (Memory loss mix)。 0:21からボーカルが始まるなど、オリジナル・バージョンに沿った展開が広がりますが、シャープなリズムを入れたり、タフなベースを使うなど、ダンスミュージックのフォルムがしっかりと盛り込まれています。
1:02からのサビの部分ではダンスミュージックならではの疾走感と上原れなのボーカルが絶妙に絡み合い、極上のサウンドが出現。
その一方で1:28からダブステップのテイストが飛び出すなど、ダンスミュージックのエッセンスも巧みに差し込まれています。
そして、1:43から始まる2番ではダンスミュージックの色がさらに強まっていきます。
バックのサウンドを大胆に減らしたり、ダブステップのメロディーが出現したり、小さなブレイクでタメを作ったりと、1番との差別化が随所に施され、めくるめくようなドラマティックな展開が広がります。
圧巻なのは3:11からの盛り上げ展開。
静かなテイストからドラムロールとSEでグイグイ引っ張った後、3:16で一気にボーカルを開放し疾走感溢れる最強の絶頂展開がここで登場。
そして、このリミックスの一番最後で飛び出す展開は美麗の一言。疾走感全開のサウンドで最後まで突き進むと思わせつつ、オリジナル・バージョンと同じ終わらせ方でしめるという絶妙な演出にKO必至です。

オリジナル・バージョンの珠玉の世界とダンスミュージックのテイストが絶妙なバランスでブレンドされた幸せな記憶 (Memory loss mix)。ゲームミュージックの黎明期から活躍するSampling Masters MEGAならではのセンスとテクニックが遺憾なく発揮されたこのリミックスでその匠に触れてみて下さい。